住宅で使われるブレーカーは、主に「メインブレーカー」「安全ブレーカー」「漏電ブレーカー」の3種類があり、それぞれが異なる役割を担い、電気を安全に使うために欠かせないものです。以下にそれぞれのブレーカーの種類と役割について詳しく解説します。
1. メインブレーカー(サービスブレーカー)
メインブレーカーは、分電盤の一番左側または右側など、最も目立つ位置にある大きなブレーカーです。
役割
- 家庭全体の電気を管理する: メインブレーカーは、家全体に供給される電気の総量を管理する役割を担っています。電力会社との契約アンペア数(例:30A, 40A, 50Aなど)を超えて電気を使用した場合に作動し、家全体の電気を遮断します。
- 過電流の遮断: 一度に多くの電化製品を使いすぎた場合など、契約アンペア数を超える電流が流れると自動的にオフになります。これにより、電気が流れすぎて配線が加熱したり、火災が発生したりするのを防ぎます。
特徴
- メインブレーカーが落ちると、家中の電気がすべて使えなくなります。
- 通常、電力会社の人が設置・調整するため、消費者が勝手に交換することはできません。
2. 安全ブレーカー(子ブレーカー)
安全ブレーカーは、分電盤内でメインブレーカーの右側に並んでいる小さなブレーカーのことです。
役割
- 特定の回路の電気を管理する: 家の中の電気回路を部屋ごと、または家電製品の種類ごと(例:リビング、キッチン、エアコン、照明など)に分けて管理します。
- 過電流の遮断: 特定の部屋や回路で電気を使いすぎた場合に、その回路の電気だけを遮断します。これにより、家全体が停電することなく、問題のある回路だけを切り離すことができます。
特徴
- 安全ブレーカーが落ちた場合、停電するのはそのブレーカーが管理する特定の部屋や回路のみです。例えば、キッチンで電気ケトルと電子レンジを同時に使ってブレーカーが落ちた場合、キッチンだけが停電し、他の部屋は電気が使える状態のままです。
- このブレーカーが頻繁に落ちる場合、その回路で同時に使う電化製品を見直すか、電気工事店に相談して回路を増やす必要があります。
3. 漏電ブレーカー
漏電ブレーカーは、分電盤の中央あたりにある、テストボタンがついている大きなブレーカーです。漏電を感知した場合に作動します。
役割
- 漏電の検知と遮断: 家のどこかで電気が配線から漏れ出している(漏電)のを検知すると、自動的に電気を遮断します。
- 感電事故や火災の防止: 漏電は、人体が電気に触れると感電事故を引き起こしたり、漏れた電気が熱を発生させて火災の原因となったりします。漏電ブレーカーは、これらの危険から私たちを守るための重要な安全装置です。
特徴
- 漏電ブレーカーが落ちると、家全体の電気が遮断されます。
- このブレーカーには通常、「テストボタン」が付いており、定期的に作動するかどうかを確認できます。
- 漏電ブレーカーが落ちた場合、原因は特定の家電製品の故障や、配線の傷みなどにある可能性が高いです。原因が分からないまま何度もブレーカーを上げると危険なため、電気工事店に相談することが推奨されます。
ブレーカーが落ちた時の対処法
1. どのブレーカーが落ちたか確認する
- メインブレーカー: 家中が真っ暗になった場合は、まずメインブレーカーを確認します。
- 安全ブレーカー: 特定の部屋だけ電気が消えた場合は、その部屋に対応する安全ブレーカーを探します。
- 漏電ブレーカー: 家全体が停電し、漏電ブレーカーのレバーが下がっている場合は、漏電が原因です。
2. 落ちたブレーカーのレバーを上げる
- 安全ブレーカー: 該当する回路の電化製品をいくつかコンセントから抜いてから、レバーを上げます。
- メインブレーカー: 家中の安全ブレーカーと漏電ブレーカーをすべて下げてから、メインブレーカーのレバーを上げ、次に漏電ブレーカー、最後に安全ブレーカーを一つずつ上げていきます。
- 漏電ブレーカー: 漏電が原因の場合、レバーを上げてもすぐに落ちてしまうことがあります。この場合は、安全ブレーカーを一つずつ上げながら、どの回路で漏電が発生しているかを確認します。特定の安全ブレーカーを上げた時に漏電ブレーカーが落ちる場合、その回路に原因があります。
まとめ
ブレーカーは、過電流や漏電から私たちを守るための重要な安全装置です。メインブレーカー、安全ブレーカー、漏電ブレーカーの3つの種類がそれぞれ異なる役割を担い、私たちの暮らしの安全を守っています。ブレーカーが落ちた際には、焦らずに原因を特定し、適切な対処を行うことが重要です。
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