電気工事士には「第1種」と「第2種」の2つの資格があることをご存じですか?
どちらも国家資格で、電気工事を行ううえで非常に重要ですが、作業範囲や難易度、将来性には大きな違いがあります。
この記事では、現役の電気工事士である私が、実務経験をふまえて1種と2種の違いをわかりやすく解説します。
「どちらを取るべき?」「キャリアアップに有利なのは?」と悩んでいる方の参考になれば幸いです。
✅ 第2種電気工事士とは?
「第2種電気工事士(以下2種)」は、主に一般家庭や小規模な店舗・事務所などの電気工事ができる資格です。
● 作業できる範囲
- 600ボルト以下で受電する設備の工事
- 住宅や小規模ビル、アパートなどの屋内配線
- コンセント・照明・スイッチなどの取り付け・交換
つまり、街中の戸建て住宅やマンションの室内配線工事は、すべてこの2種で対応できます。
● 試験の難易度
合格率は筆記・技能ともに60~70%ほどで、しっかり対策すれば独学でも十分合格可能です。
✅ 第1種電気工事士とは?
「第1種電気工事士(以下1種)」は、2種よりもさらに広範囲な電気工事ができる上位資格です。
● 作業できる範囲
- 2種の工事範囲+それ以上の高圧設備(最大500キロワット未満)
- 工場、病院、大型ビル、商業施設などの電気設備工事
- 高圧受電設備、キュービクル、配電盤などの工事
このように、企業や工場のインフラ設備に関わる仕事が可能になります。
● 試験の難易度
- 筆記試験は2種よりも難易度が高く、電気理論や電力、法規に加えて機械制御なども出題
- 技能試験は実務に直結する複雑な配線作業が含まれる
- 合格率はおよそ40〜50%と、やや難関
さらに、合格後に「実務経験3年以上」または「電気系の学校卒業」などの条件を満たさないと免状が交付されません。
✅ どちらを先に取るべきか?
基本的には、電気工事未経験の方や住宅系の仕事に就きたい人はまず2種から取得するのが王道です。
理由は以下の通り:
- 難易度が低く、短期間で合格できる
- 電気業界の多くの現場で必須資格とされている
- 工業高校や専門学校の学生でも取得しているレベル
その後、実務を積んでから1種にチャレンジする流れが自然です。
ただし、すでに高圧工事や大型施設の設備関係に携わりたい方、キャリアアップを早めたい方はいきなり1種を狙うのもアリです。
✅ 年収・キャリアにどんな影響があるのか?
1種と2種では、担当できる仕事の規模が違うため、収入や将来性にも差が出てきます。
比較項目 | 第2種電気工事士 | 第1種電気工事士 |
---|---|---|
平均年収 | 約350万~450万円 | 約450万~600万円 |
作業範囲 | 住宅・店舗 | 工場・ビル・インフラ設備 |
将来性 | 独立・小規模案件向け | 昇進・大手企業でのキャリア形成に有利 |
1種を取得しておくと、電気主任技術者との併用資格で管理職・責任者になりやすくなるのもポイントです。
✅ キャリアアップに必要な「実務経験」とは?
1種は合格するだけでは免状が交付されず、次のような条件が必要です。
- 電気工事の実務経験が3年以上あること
- または、電気系の専門学校・大学を卒業していること(高専・工業高校含む)
したがって、若いうちに電気関係の仕事に就き、経験を積んでおくとスムーズにキャリアアップできます。
✅ まとめ|2種→1種が現実的なルート
- まずは2種を取得して現場経験を積む
- 経験を通して1種が必要な現場に関わる
- 実務が増えたら1種を受験してステップアップ!
この流れが一番現実的で、かつ将来の選択肢も広がります。
資格はただの「スタート地点」です。どのような現場で働き、何を学び、どうスキルを磨くかが、長い目で見て一番大切なことです。
2種と1種の違いを正しく理解して、自分の未来に合ったキャリアパスを描いていきましょう!
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